難病医療費助成制度
どんな制度なの?
難病医療費助成制度とは...
指定難病の患者さんの経済的な負担を軽くするために、難病の治療にかかる医療費の一部を助成する制度です。この制度を利用すると、月のはじめから月末までの1ヵ月に支払う指定難病の医療費にかかる自己負担に上限額が定められ、それを超えた場合に助成が受けられます。また、医療費の自己負担の割合が2割(申請時に1割負担の患者さんは1割)になり、申請時に自己負担の割合が3割の方の場合は、上限額を超えなくても1割が助成されることになります。
難病医療費助成制度を利用すると、50歳で階層区分が一般所得Iの方では自己負担の割合が2割ですので、自己負担額は60,000円です。ただし、自己負担上限額を超えるため、実際の自己負担額は10,000円になります。
自己負担上限額は世帯の所得によって決まります。
月のはじめから月末までの1ヵ月に支払う自己負担の上限額は、世帯の所得によって決まります。患者さんは、1ヵ月の間に、ご自身の階層区分に応じた自己負担の上限額まで支払います。1ヵ月の間に上限額に達しないときは、医療費の総額の2割を支払うことになります。
医療費の自己負担上限額(月額)
階層区分 | 階層区分の基準 (医療保険上の世帯で算出) | 自己負担上限額(外来+入院+薬代+訪問看護費) | ||
患者負担割合(2割)※1 | ||||
一般 | 高額かつ長期※2 | 人工呼吸器など装着者 | ||
上位所得 | 年収約810万円~ 市区町村民税:25.1万円以上 | 30,000円 | 20,000円 | 1,000円 |
一般所得Ⅱ | 年収約370万~約810万円 市区町村民税:7.1万~25.1万円未満 | 20,000円 | 10,000円 | |
一般所得Ⅰ | 年収約160万~約370万円 市区町村民税:7.1万円未満 | 10,000円 | 5,000円 | |
低所得Ⅱ | 本人年収80万円超~ 市区町村民税非課税世帯※3 | 5,000円 | 5,000円 | |
低所得Ⅰ | 本人年収~80万円 市区町村民税非課税世帯※3 | 2,500円 | 2,500円 | |
生活保護 | — | 0円 | 0円 | 0円 |
入院時の食費 | 全額自己負担 |
※1.申請時の自己負担割合が1割の方は、申請後の割合も1割です。
※2.高額かつ⻑期は、月のはじめから月末までの1ヵ月にかかった医療費の総額が50,000円(医療費の自己負担割合が2割の場合は、自己負担額が10,000円)を超える月が12ヵ月の間に6回以上ある方を対象として、自己負担の上限額が軽減される制度です。なお、高額かつ⻑期の適用を受けるには申請が必要です。
※3.市区町村⺠税非課税世帯とは、均等割と所得割のいずれもが非課税の世帯です。患者さん(または保護者)の年収(給与・年金・手当など)により低所得Iか低所得IIを決定します。
誰が使えるの?
指定難病の診療を受けている以下の患者さんが対象となります。
重症度が一定程度以上の患者さん
軽症で高額な医療を一定期間継続する必要がある患者さん(軽症高額)
難病医療費助成制度は、重症度が一定程度以上の患者さんが助成の対象となります。また、重症度が一定程度以上とならない軽症の患者さんでも、高額な医療を一定期間継続する必要がある場合、軽症高額を利用して助成を受けられる可能性があります。
症状が重症化した場合は、重症化時点(重症度分類を満たしていることを診断した日)から助成が開始されます(令和5年10月1日以降の申請分)。さかのぼって申請できる期間は原則1ヵ月ですが、1ヵ月以内に申請できない理由※がある場合は、最長3ヵ月までさかのぼって申請できます。軽症高額については、軽症高額の基準を満たした日の翌日以降にかかった医療費が対象となります。
※指定医が診断書の作成に期間を要した場合、入院その他緊急の治療が必要であった場合など
助成の対象となる医療費は?
各指定難病の診療にかかる医療費が助成の対象となります。病院での外来や入院時の診察費・治療費のほかに、薬局でのおくすり代(調剤費)や訪問看護の費用なども含まれます。助成の対象とならないのは、指定難病とは関連のないケガや風邪などの医療費や、入院時の食費などです。また、申請時に提出した医療機関(指定医療機関※)以外でかかった医療費は、助成の対象とはなりません。
※各指定難病の診察や治療で利用したい病院や薬局などは、指定医療機関として申請時の書類に記入しておく必要があります。利用できる難病指定医療機関については、難病情報センターのホームページや各都道府県のホームページなどで確認しましょう。
軽症で助成の対象となる患者さん(軽症高額)
軽症であっても、高額な医療を一定期間継続する必要がある患者さんは、医療費の助成を受けられます。対象となるのは、難病医療費助成制度の申請を行う月から12ヵ月前までの期間に、各指定難病の治療にかかった医療費総額が、33,330円 (医療費の自己負担割合が3割の場合は、自己負担額が10,000円)を超える月が3回以上ある患者さんです。なお、診断されてから12ヵ月経過していない患者さんは、医療費総額が33,330円を超える月が3回あれば対象となります。なお、軽症高額を申請するまでの間の医療費が高額になった場合は、高額療養費制度を利用して助成を受けられる可能性があります。
利用するための手続きは?
申請から受給者証交付までの流れ
難病医療費助成の申請手続きをするには、まず、必要な書類を都道府県や市区町村のホームページや窓口(保健所、役所・役場など)で入手します。このうち、診断書(臨床調査個人票)は、都道府県から認定された難病指定医が記入する必要があります。また、申請書(特定医療費の支給認定申請書)には、各指定難病の治療で利用したい病院や薬局などを、指定医療機関として記入しておく必要があります。難病指定医や難病指定医療機関の情報は、難病情報センターのホームページおよび各都道府県のホームページから確認できます。
- 申請するために必要な主な書類
1 | 申請書(特定医療費の支給認定申請書) |
都道府県や市区町村のホームページや窓口(保健所、役所・役場など)で入手しましょう。 | |
2 | 診断書(臨床調査個人票) |
疾患ごとに様式が異なります。都道府県や市区町村の窓口(保健所、役所・役場など)または厚生労働省のホームページから入手しましょう。必要事項は、難病指定医に記入してもらう必要があります。 | |
3 | 個人番号に係る調書 |
マイナンバーを記載するための書類です。都道府県や市区町村の窓口(保健所、役所・役場など)で入手しましょう。 | |
4 | 世帯全員の住民票の写し |
市区町村の窓口などで入手しましょう。申請者と同一の医療保険に加入している世帯の構成員が確認できる必要があります。 | |
5 | 世帯の所得を確認できる書類 |
市区町村民税(非)課税証明書など。市区町村の窓口などで入手しましょう。 | |
6 | 保険証の写し |
被保険者証、被扶養者証、組合員証などの医療保険の加入関係を示すもの。加入する保険種別により提出が必要な写しが異なりますので、市区町村の窓口でご確認ください。 | |
7 | 医療費を確認できる書類(軽症高額の場合のみ) |
各指定難病の診療にかかる医療費総額が33,330円/月を超える月が申請月以前の12ヵ月の間に3回以上あったことを示す書類(領収書、診療報酬明細書)。市区町村の窓口などでご確認ください。 |
このほかにも、患者さんによっては提出が必要となる書類があります。詳しくは、医療機関の相談室やソーシャルワーカー、都道府県や指定都市の申請窓口に相談しましょう。
必要な書類がそろったら、都道府県や指定都市の申請窓口に提出します。申請窓口は、都道府県により異なりますので、お住まいの都道府県にお問い合わせください。審査によって承認された方には、医療機関を受診するときに必要となる「医療受給者証」と「自己負担上限額管理票」が交付されます。
医療機関にかかるときは
指定医療機関を受診するときは、必ず医療受給者証と自己負担上限額管理票を窓口に提出してください。自己負担上限額管理票に記載されていない医療費は助成の対象となりません。毎回忘れずに提出するようにしてください。
わからないことがある時は...
難病医療費助成制度の申請の手続きや利用のしかた、医療費のこと、日常生活で困っていることがあるときは、医療機関の相談室やソーシャルワーカーに相談しましょう。また、よくあるご質問をまとめたQ&Aもご参考にしてください。(参考:「Q&Aよくあるご質問」)
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2024年7月作成