ご家族も「自分らしく」
「できること」から始めていきましょう
ご家族の方が肺線維症と知って、とまどいや不安を感じていらっしゃると思います。「支えてあげなければ」、「自分がしっかりしなければ」と気を張ってはいないでしょうか。ご自身の日常生活を送りながら、患者さんのサポートもしていると、時にはがんばりすぎて疲れてしまうことがあるかもしれません。
ご家族の方が健康で、幸せでいることは、患者さんのサポートにもよい影響があります。まずは、ご自身の心とからだの健康を大切にしましょう。肺線維症の治療は、⻑期にわたることもあります。あせらず、無理をせず、ご自身の心とからだを大切にして、「できること」から始めていきましょう。
ご自身の時間を大切にしましょう
患者さんのサポートを続けることは、精神的にも肉体的にも疲れるもので、ついつい無理をしてしまうこともあります。患者さんは、周りの人に負担をかけてしまうことを気にしているものです。ご自身の無理のない範囲でサポートを行うことを心がけましょう。
ご自身が、「自分らしく」いるための時間を確保することも大切です。たとえば友人と会ったり、散歩や運動をしたり、笑顔になれる時間と場所を作ることを意識してみてください。お仕事をされている方は、一度職場に相談をしてみましょう。
疑問や不安があるときは、抱え込まずに相談しましょう
患者さんをサポートする中で、疑問や不安に思うこともあるかもしれません。そんなときは、一人で抱え込まずに、医師や看護師などに相談しましょう。
患者さんやご家族の方が、病気についてわからないことを相談したり、日常の悩みを共有できる情報交換の場として、たとえば「患者会」があります。同じような状況にある人の経験はとても役に立ち、疑問や不安を解決するヒントになることもありますので、参加してみるのもよいでしょう。
困ったときは周りに助けを求めましょう
患者さんのサポートを続けていると、不安になったり、気持ちをコントロールできなくなってしまうことがあるかもしれません。サポートを続けている方の中には、欲求不満があったり、あせりや悲しみ、怒り、無力感などを感じる経験をされる方もいらっしゃいます。一人で抱え込まずに、周りの人に助けを求めましょう。友人などの周りの人と話すだけでも、心が軽くなり気持ちの整理に役立つことがあります。
ご自身の体調や感情に対処できないと感じた場合は医療チームに相談したり、メンタルクリニックのカウンセリングを受けることも視野に入れてみてください。特に以下のような状況がある場合は、早めに、主治医の先生や看護師に相談してみましょう。
- 眠れなかったり、あまり食べられないことがある
- 運動ができなくなっている
- ご自身が病気のときに必要な休息をとることができない
- ご自身に必要な医療を後回しにしたり、忘れたりする
食事や運動に気を配り、ご自身の健康のことも考えましょう
患者さんのことを気づかうあまり、ご自身のことを後回しにしてしまうこともあるかもしれません。しかし、患者さんにとっても、ご家族の方が健康でいることは大切なことです。
- バランスのとれた食事を心がけましょう。
野菜やたんぱく質、水分をしっかりと摂取しましょう。また、糖分と塩分の取りすぎには注意が必要です。 - 適度な運動を心がけましょう。
歩いたり、からだを動かしたりすることは、より健康で幸せな生活を送るために重要です。忙しい生活の中でも、時間を作って、なるべくからだを動かしましょう。気分を落ちつけ、睡眠の質を向上させることにもつながります。また、ストレスを減らし、うつ病や病気のリスクを軽減してくれます。
参考文献:
- Schulz R. et al.: Am J Nurs 2008; 108(9 Suppl): 23-27.
- http://pulmonaryfibrosismd.com/salute-to-the-ipf-caregivers/
- https://www.carersuk.org/search/carers-suffering-due-to-lack-of-support/
- https://www.mayoclinic.org/healthy-lifestyle/stress-management/in-depth/support-groups/art-20044655/
Belkin A. et al.: BMJ Open Respir Res 2014; 1(3): e000007. - https://www.nhs.uk/live-well/eat-well/
- https://www.nhs.uk/live-well/exercise/exercise-health-benefits/
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2023年10月作成